東洋医学では病気になる前の未病の治療こそが重要だと考えます。
病院の検査で異常もないし、病名もつかないけれど、体の不調を感じていることはありませんか?
『未病』 とは健康な状態から病気になる間の状態、まだ病気にはなっていないけれど病気になる兆候がある状態をいいます。
【 未病 】
病気ではないが、健康でもない状態。
「自覚症状はないが検査結果に異常がある場合」と、「自覚症状はあるが検査結果に異常がない場合」に大別される。骨粗鬆症、肥満など。
スーパー大辞林より
『未病』 という言葉が初めて出てきたのは《黄帝内経(こうていだいけい)》 といわれており、そこには
「聖人不治已病治未病」
聖人はすでに罹ってしまった疾患(已病)を治療するのではなく、未だ表面に現れていない疾患(未病)を治す
「上工治未病」
腕のよい医者は未病を治す
とあります。黄帝内経は中医学(漢方)の最古の医学書であり、この時から漢方では病気になる前に体のバランスを整えて、病気になるのを防いでいたことがうかがえますね。
人の体は気血水(きけつすい)が過不足なく巡り、五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎・胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)が協調して機能することで健康な状態が保たれます。しかし、何らかの影響で、気血水のどれかが不足したり、巡りが悪くなったり、五臓六腑のどれかの機能が低下してしまうと私たちの体に不調が起こります。
例えば、血の巡りが悪くなると、「不通則痛(ふつうそくつう)」 (通じざればすなわち痛む)となり、頭痛や肩こり、生理痛などの不調につながります。逆に、肩こりといっても血の巡りの悪さによるもの、冷えによるもの、血の不足など原因は様々です。
不調となる原因はその人の生活習慣、睡眠、飲食、運動、精神状態などと関わりがあり、
「三因制宜(因地制宜、因時制宜、因人制宜)」 《中医基礎理論》
同じ病気でも場所によって、時(季節)によって、
人によって治療法がかわる。
また、中医学が著しい発展を遂げた紀元前400年頃の《周礼》という書物には、
「食医」「疾医(内科医)」「瘍医(外科医)」「獣医」
という四階級の医師が明記されており、その中で最も重要視されていたのが、食養生に携わる食医であったとされています。2000年以上も前から、健康を保つために食が大切にされていたというのがわかりますね。
例えば、日本では湿気の影響により、水分代謝を司る脾(胃腸)は余分な水分を溜めやすくなり、胃腸の働きが弱くなり易い傾向があります。また、せっかく「冷え」に対して体を温める漢方薬を飲んでいても、生野菜のサラダを食べていては漢方薬の効果が十分に発揮できません。
中医学では生活養生や食べ物の五味(酸・苦・甘・辛・鹹)五性(熱・温・平・涼・寒)の特徴をふまえた食養生とともに、体のバランスを整える漢方薬を選びます。
薬局・薬店で相談を受ける未病の症状は、頭痛・肩こり・腰痛・めまい・のぼせ・耳鳴り、生理不順・生理痛・冷え性など様々です。
私もあてはまるかも?!と思われたら、お近くの漢方相談のできる薬局・薬店を訪ねてみてくださいね。
また、食べ物の五味五性について興味をもたれた方はトップページのふるさと漢方にて日本各地の食べ物の特徴をチェックしてみてくださいね。